穏やかな内湾は、まるで畑のように人が手をかけていました。

 しかし、閉鎖的で多くの人口を抱えるようになると、内湾は高度利用されたために汚れました。それを反省に法律で綺麗にする取り組みがなされてきましたが、それとは反対に生き物が少なくなり、同時に人の関わりも少なくなってきました。

 須磨海岸ではその対策として、人の呼び込みを目的に海岸の一部で遠浅工事がなされました。

里海とは

里海とは「人手をかけることで、生物生産性と生物多様性が高くなった沿岸海域」と定義されています。私たちは、これを「人々がより大きな恵みを安定して得るために、人々の手で開墾してつくった里山のように、より多くの海の生きものを育み、人がより多くの海の恵みを得られるように、人々が知恵と力をあわせて活動している海」と理解しています。須磨海岸は港湾区域内であり、海水浴場などリクリエーションの場として知られていますが、実は今でも漁場でもあるのです。

瀬戸内法の改定

瀬戸内海では、1960年代に水質汚濁が進み、ハマチなどの養殖魚が大量死するような大規模な赤潮が頻発していました。それ以降、瀬戸内海を「きれいな海」にするために、新たな法律「瀬戸内海環境保全特別措置法」が施行され、国をあげて様々な取り組みがなされました。赤潮で慢性的に茶褐色だった須磨海岸は、夏でも透明感のある美しい海に変わりました。しかし、これまで海の恵みとして私たちが享受していた魚介類は、減ってしまいました。この状況を憂慮して、「きれいな海」から美しくても魚がたくさん採れる「豊かな海」を目指して、2015年10月に瀬戸内海環境保全特別措置法が改正されました。
その基本理念の一つに、「瀬戸内海の多面的な価値や機能を最大限に発揮された海」がうたわれ、その海を里海と明記しています。そして、これまでのように規制するだけでなく、地域の様々な人々が行う里海活動を含め、沿岸域の良好な環境の保全・再生・創出など、瀬戸内海を豊かな海にするための取り組みを推進させるとしています。

須磨海岸の遠浅化

子どもたちが安全に親しむことができるような海にすることを目的として、全長約1.8kmの砂浜海岸のうち西側約0.4kmが、今よりなだらかな遠浅海岸になります。工事は2015年12月24日から始まり、 約14万㎥の砂を使って、波打ち際から深さ2mになるまでの距離が、現在の約30mから約100m(現在の水深約5m)に広がります。竣工は2016年5月です。