「須磨里海の会」の目的

 須磨海岸の砂浜生態系とそこに生息する生物を豊かにする再生と保全への取り組みを通じて、人々の海への関心を高め、人々を海に誘い恵み豊かな自然環境を次代に継承することです。

 春の大潮の時、内海の干上がった砂浜を掘ればたくさんのアサリが採れました。

 ところが、今では日本全国の海でアサリが採れなくなっています。須磨海岸でもこの20年ほど 前から少なくなりはじめ、アサリが採れないためにアサリ漁が行われなくなってもう10年以上が経ちます。

 地元の漁師さんによると、子供の頃はハマグリほどの大きなアサリがたくさんいて、浜は海水浴はもとより潮干狩りで賑わっていたそうです。そのアサリはほか海のものよりも濃厚な味で、もう一度味わいたいと今でも思い続けるほど美味しかったそうです。

 アサリの餌は植物プランクトンの珪藻類です。このことから、須磨海岸は珪藻類が豊富な海であったと推察されます。

 須磨里海の会は、須磨海浜水族園が2010年から始めた「須磨海岸でのアサリが減少した原因を明らかにする調査研究と漁師さんや市民とはじめた健全な砂浜に保全する活動」を継承し、市民主体の任意団体として2016年8月設立しました。

 アサリが減った原因を明らかにすることはむつかしいですが、私たちは原因は一つではなくさまざまな海の環境の変化が作用しあっていると考えています。現在の海の環境は、突然変化したものではありません。人間社会が発展する中で自然とのかかわり方が変化し、長い年月をかけて少しずつ変わってきた結果、今の大きく変化したと想う海があると私たちは考えています。今、海の水は透き通るようにきれいな一方で、海で採れる漁獲量が減っています。

 須磨海岸でみられる生物にも変化がみられます。須磨海岸が位置する瀬戸内海には、かつて大洋と異なる特有の環境があり、海岸から沖の海の底までさまざまな生物が満ちあふれた、ほんとうに豊かな海でした。しかし、生物が減少しているといっても、ほとんどの生物はまだどこかで生息しています。海の環境が変われば、また再び私たちの前に姿を現してくれるでしょう。私たちは、今の海を少しでもかつての豊かな海に近づけたい。そのためには、より多くの市民の方々にこの海の現状を知らせ、海に関心を持ってもらうことが必要と考えています。 

 一人一人の力は小さくても、その活動の輪が広がることで大きな力となり、将来の豊かな海につなげる活動。それが私たちの里海活動です。須磨海岸にアサリをはじめとする生き物が増え、例えば春には潮干狩り、夏には海水浴、秋には地曳網、冬には海藻(ノリやワカメ)の収穫にと、人々が海の恵みに興じ、身近に感じられる場所にすることを目指しています。