コラム

ブルーカーボン

海の中の「グリーンカーボン(C)」です。グリーンカーボンとは、光合成などの作用によって植物が大気から吸収し、生物の体内や土壌に蓄積された炭素(C)のこと

⇒ 簡単に言えば、「海洋生物の作用によって、海中に取り込まれた炭素」のことです。海中の二酸化炭素は大気中からとけこむため、大気中の二酸化炭素の圧力(分圧と言います)に影響を受けます。

出典:国連の環境計画部門(UNEP)、食糧農業機関(FAO)、教育科学文化機関(UNRSCO)2009 ブルーカーボンレポート)

アマモの播種

私たちは須磨海岸で、アマモの種まきや田植えをして増やす試験を、2021年から始めました。2022年度も、10月と1月に播種しました。どうしたら遠浅海岸で増やせるか?試行錯誤しながら楽しく活動をしています。

アマモの役割

アマモがはえる浅い海は、海の面積全体からするととても小さいですが、ブルーカーボンをつくる速度がほかの生きものに比べてとても早いので、狭い場所でもたくさんの炭素をため込む能力があります。そのため、地球全体のブルーカーボンを増やすことを考えると、アマモの仲間がはえている場所「アマモの草原(アマモの森やアマモ場とも)」を広げることが注目されています。

 海の中は見えないので、これまであまり知られていないアマモですが、地球温暖化に大きなかかわりを持っている植物となれば話は別です。もともとアマモの草原はとても身近な海にありました。浅い海は人の経済活動の拡大により大きく環境が変化し、瀬戸内海のアマモは1960年代の30%までその面積を減らしたと言われています。

 アマモは海の種子植物です。海の中の砂地に生え、成長の過程で地中に地下茎と根を張り、それを広く展開し砂地を安定させ、葉を茂らせます。たくさんの生きものの住みかになることから生態系にとっても重要な生き物なのです。

日本海に進んだ二つ玉低気圧がもたらしたもの (2022年5月31日)


 2022年4月26日から27日にかけて、強い南風が吹き海は時化(しけ)ました。その夕方、海岸にはたくさんの海藻と浅い海に生きる動物が打ちあがっていました。降る雨は比較的少なく、洪水が起こっていないので、陸から運ばれるごみはあまり目立ちません。この上の写真のように、最も多かったのはアナアオサという緑藻です。須磨海岸ではこの冬から、アオサが砂浜のすぐ前の浅い場所一面を覆いつくすように繁茂していました。その写真の手前のほうに写る黒い点はアメフラシの仲間です。アメフラシは海藻を食べる動物で、今、海藻が繁茂した海で大繁殖しています。

 砂の中にすむ二枚貝もたくさんの種類が打ちあがっていました。一部を紹介します。打ちあがっていたのは、軟らかい砂地を好むバカガイ、砂の表面近くにすむ小さい貝、そして砂地表面に群体をつくるホトトギスガイです。

 波打ち際を歩いていると、たくさんのカタクチイワシが陸に飛び上がっていました。何かに追われたのでしょう。

 時化の後、風がやみ波が収まり安全を確認してから、砂浜を歩いてみてはいかがでしょうか?その時の海の中の状況を知ることができますよ。

打ちあがっていた二枚貝:アサリ⇒トリガイ⇒バカガイ⇒ハボウキガイ⇒ホトトギスガイ 

陸に飛び上がったカタクチイワシ
陸に飛び上がったカタクチイワシ
 流れ着いたアマモの花枝(種がついていた)。   どこから来たのか
 流れ着いたアマモの花枝(種がついていた)。   どこから来たのか