活動内容

野外試験

1)アサリが減少した原因を調べ、アサリを増やすために必要な環境について調べています。あわせて、アサリの産卵母貝を増やす試みを行っています。試験区と試験開始時期は以下の通りです。

🔸第1期野外試験:西側遠浅海岸の潮間帯下部付近、平成29(2017)年9月設置、被覆網の効果を検証 

🔸第2期野外試験:西側遠浅海岸の沖側、令和元(2019)年10月設置、万能ネットの効果を検証

🔸第3期野外試験:東側の遠浅海岸、令和2年(2020)年10月設置、被覆網2種(モジ網と万能ネット)で比較

🔸産卵母貝育成区:千森川の東側、平成29(2017)年9月設置、 大量に発生したアサリの稚貝を、自然に減耗する 前に育成し、生残率を向上(場所は第1、第2野外試験区)

アサリの保護枠の作成(モジ網使用)

アサリの保護枠の設置(網のみ)

産卵母貝を育成する試験礁を設置


2)須磨海岸に適した藻場の再生方法を調べています(藻場づくり)。

 令和3年度からアマモ場の再生を目指し、種子から増やす試験と栄養株を植えて増やす試験に着手しました。

アマモの種子採集から、移植のためのヤシマットなどを作成し、海底の試験区に設置。その後、スキューバ潜水による目視観察や水中ドローン撮影により、定着状況や成長の様子を調査。

底質環境の保全活動

かつて須磨の海で大きく成長していたアサリがいなくなった。アサリだけでなく、砂浜にすむ多様なベントスがすめる海に近づけようと、底質環境の保全活動を行っています。活動は、主にマット状の群体をつくり、海底を覆いつくすホトトギスガイが、マットを発達させて砂に潜るベントスが住めなくなる状況をつくらないよう、ホトトギスガイのマットに隙間をつくるために、海底を耕耘しています。

人力で海底を耕耘する地曵耕耘

地曵耕耘で用いるマンガ

一緒に採集された生物(ベントス)

モニタリング調査

須磨海岸の様子は四季の移ろいや年ごとに変化しますが、それ以外でも大きな気象現象(台風や爆弾低気圧による時化、高水温、高い透明度など)、さまざまな生物や人為的な影響により変化します。このような須磨海岸の変化を把握するためモニタリングを行います。具体的には、海底の底生生物調査、海岸に打ち上がった生物(漂着物)調査、アサリやナルトビエイといった特定の種類の生息状況調査などです。

アサリの分布調査(試験掘り)

アサリ稚貝の加入状況調査

アサリの計数

社会教育

須磨海岸で、海岸の生態を保全する活動の際に、採集された生き物や海の環境の学習会を開催しています。また、学校、企業や自然を学ぶ団体と協力して、独自のプログラムを作成して、海での体験学習会を行っています。

 地曵耕耘で採集されたベントスなど、海の生き物と環境についてレクチャーする浜辺の学習会の様子

同定会

須磨海岸で採集した生物を種類別に大きさや重さを計測したり、生物標本をつくったりしています。

調査後、現地で同定会

生物同定会の様子

樹脂標本

地域連携活動

より有意義な活動に向上させるために、同じ地域で活動する団体、同じ目的で活動する団体と連携しています。

神戸の山、里、海それぞれの自然の恵みを味わい、未来につなげようとするイベントに参加

須磨区の森・川・海で活動する団体が連携する「須磨FRSネット」の一員として、自然の大切さの啓発イベントに参加